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軽減税率の廃止とクロス取引

2013/10/24

カテゴリー節税対策室

「上場株式等の譲渡及び配当所得に係る10%の軽減税率の特例等」が平成25年12月31日をもって廃止されます。

つまり今年(平成25年)中に含み益のある株式を売却しておけば、その譲渡益に対しては10%の軽減税率が適用されますが、来年(平成26年)以降に売却すると20%の本則税率が課されることになるのです。

そこで、軽減税率が適用される年内に一度株式を売却するとともに、直ちに同一銘柄の株式を再取得するいわゆる“クロス取引”を検討する向きもあるようです。

株式を売却するとともに、直ちに同一銘柄の株式を取得するため、その時点での損益を認識するべきかどうかという点について、法人税では平成12年に、株式(売買目的有価証券を除く)のクロス取引による損益は認識しないことが明確化されました(法人税基本通達2-1-23の4)。

一方、個人については、市場取引などの場合はクロス取引による売却でも株式の譲渡として認められます(「個人が上場・店頭売買株式を売却するとともに直ちに再取得する場合の当該売却に係る源泉分離課税の適用について」(法令解釈通達)平成12年3月17日 課資3-2等)。

現在も同様の取扱いであるため、個人投資家が行うクロス取引については、原則として、譲渡損益が実現することになります。

例えば、取得費10万円の株式の価額が50万円に上昇している場合、年内にクロス取引を行えば譲渡益40万円(50万円-10万円)に対して、復興税、地方税を含めた10.147%の税率が課されます

再取得した株式の取得費は50万円となるため、26年1月以降、その株式が60万円に上昇していても、復興税、地方税を含めた20.315%の税率が課されるのは、譲渡益10万円(60万円-50万円)で済みます

一方、年内にクロス取引を行わずに、来年1月以降に、株式を売却した場合では、譲渡益50万円(60万円-10万円)に20.315%が課されます

クロス取引を行えば、同一銘柄の株式を継続して保有しつつ、取得費が付け替えられることになるわけです。

取得費が低く、現在の株価が上昇している場合などには、年内にクロス取引を行う方が税額面だけで言えば有利になることもあるでしょうが、投資元本などの関係からも、個々のケースに応じた判断が必要となるでしょう。

 

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