消費税の節税
2013/05/02
カテゴリー節税対策室
消費税は間接税という分類の税金で、事業者は消費者から売上代金と併せて消費税を預かり、消費者に代わって納税するという性質の税金です。
そんな消費税も節税することができます。
◎免税期間をフル活用する(新規事業者のみ)
設立時(期首)の資本金が1,000万円未満なら、設立2期目までは、消費税免税事業者となります。(他にも要件あり)
初年度に増資をして資本金が1,000万円を超えると、2期目から課税されてしまうので、もし増資をするなら2期目以降の方がいいかもしれませんね。
免税事業者というのは、文字通り「納税を免除される」事業者ですので、仮に売価に加えて消費税を消費者から受け取っても、その納税を免除されるということです。
免税となる期間は“2年間”ではなく”2期間”なので、最初の事業年度を出来るだけ長くする(例えば5月1日設立なら4月末を決算日とする)ことで、消費税の免税期間が長くなります。
個人事業者の課税期間は1月1日から12月31日と決まっていますので、年の初めに事業を始めると免税期間が長くなります。
◎ 仕入税額控除をフル活用する
大きな設備投資をしたときなどは、消費税の納税額が減ったり、還付を受けられたりします。
消費税納税額(還付額)の基本的な計算方法(「原則課税方式」)は、
受け取った消費税(売上、雑収入)-支払った消費税(機械装置や仕入れ等)=納税額または還付額
ですので、大きな設備投資等によって「支払った消費税」の方が大きくなれば、消費税が還付される可能性があります。
しかし、還付を受けるには次の要件を満たしていなければなりません。
・「課税事業者」である(「免税事業者」でない)こと
・「原則課税方式」を選択していること。
「免税事業者」は、消費税の納税義務がないという特典がある反面、支払った消費税の方が大きくても還付は受けられません。
課税事業者の場合、納税する消費税額を計算する方式を「原則課税方式」と「簡易課税方式」の二つから選択することが出来ます。(簡易課税方式を選択するには別の要件もあり。)
「簡易課税方式」とは、売上(雑収入など)に伴って受け取った消費税だけを基準に一定の計算方法で納付税額を算出する方法です。
ですから支払った消費税額の多寡に関わらず、消費税の納税額は、受け取った消費税のみから計算されてしまいます。
したがって、どれだけ大きな買い物をして支払った消費税が多くなっても、納税額を減らしたり還付を受けたりすることは出来ません。
現状が「免税事業者」であるならば「消費税課税事業者選択届出書」を提出して課税事業者となることを選択し、また「簡易課税方式」を採用しているのであれば「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出して、原則課税方式を選択しておく必要があります。
これらの届出書は任意に提出するものであり、またその課税方式を選択する事業年度が始まる前に提出をしておかなくてはいけないので、提出を忘れやすく注意が必要です。
また、選択した場合には継続要件などもあり、他にも様々な状況によってその後の影響が変わってきますので、少なくともその先3年程度の事業見通しと照らしてベストな納税方法を選択するためには、税理士などの専門家に相談して決めるのが良いでしょう。
◎消費税非課税の支払いを課税の支払いに変える
これも上記の説明の通り、原則課税方式の課税事業者である場合にのみ有効です。
従業員に対する給与の支払いは消費税の掛からない支払いですが、もし従業員が独立して外注業者として契約した場合、外注業者に対する支払いは消費税が掛かります。
したがって、その分だけ支払った消費税が増えることになり、納税額が減ります。
ただし、従業員の独立は、請負契約としての実態が伴っていなければなりません。
実態が従業員であった時と変わっていないのに支払方法だけを変えた、という場合にはその仕入税額控除が否認され、源泉所得税も未納とされ、場合によって多額の追徴課税が必要になることもありますので十分に注意が必要です。
また、あまり知られていませんが、こんな方法もあります。
通常「印紙」の購入は非課税ですが、金券ショップで購入した場合は消費税の課税対象となります。
金券ショップで買えば通常の金額よりも安く購入することができ、消費税の仕入税額控除も出来ますので、わずかな金額ではありますが、塵も積もれば何とやらですね。
印紙をたくさん使う業種であれば、意外と効果が高かったりします。
ただし、こちらも注意点があります。
印紙は紙幣よりも偽造しやすいために、偽造して換金しようという人たちがいて、実際に摘発されているそうです。
ですので金券ショップでの購入は「偽造印紙」を掴まされる可能性があるということです。
もし偽造であったと後で発覚しても、金券ショップが保障してくれることはないようです。
以上、消費税の節税についての説明でしたが、届出の部分はかなり簡単に省略してあり、他にも細かい規定や様々な要件がありますので、繰り返しになりますが、実際に届出をする場合や経理方法を変更する場合には、やはり税理士などの専門家に御相談することをおすすめします。