財務諸表の活用法-その1 「財務諸表ってつまり何なの?」
2013/04/18
カテゴリー経営改善対策室
経営改善対策室、最初の投稿記事になりますので、基礎の基礎、超初級編からいきます!
中小企業の経営者の多くが財務諸表に苦手意識をもっていて、数字に強くないという現実があります。
なぜかと言えば、財務諸表はもともと税務申告や利害関係者に対しての報告用に作成されたものであって、一定の会計基準や慣習上の勘定科目等など既定のフォーマットに従って作成された外部提出用の資料であり、会社内部で使う経営資料としては難しいものになっているからです。
しかし、難解な財務諸表もいくつかのコツがわかれば経営に役立つ資料となるのです。
これから複数回に分けて、そのコツをつかんで頂く為のご説明をしていきたいと思いますのでどうぞお付き合いください。
財務諸表に対する理解度のまだ低い初心者にもわかりやすいような説明が出来るように心がけます!
(基礎はもうばっちり!なベテラン経営者様は読み飛ばして下さいね。)
財務諸表の活用法-その1 「財務諸表ってつまり何なの?」
日本の会計基準によると、財務諸表には以下の4つが含まれます。財務諸表っていうぐらいですから複数あるんですね。
・貸借対照表(Balance Sheet、略称B/S)
・損益計算書(Profit and Loss Statement、略称P/L)
・キャッシュ・フロー計算書(Cash Flow statement、略称C/F)
・株主資本等変動計算書(Statements of Shareholders’ Equity、略称S/S)
この時点で日頃聞き慣れた言葉ではないので拒否反応が起きてきそうですが、段々と慣れてくると思いますので頑張ってついてきて下さいね!
今回はこの4つのうち、経営管理に役立てる資料として貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書の3つについて説明していきます。
さて本題の「つまり何なの?」という疑問に、会社をサラリーマンである一個人に例えてお答えします。
貸借対照表=健康診断書
健康診断書といえば、診断した日時点の体の状態を表すものです。
つまり会社にとっての健康診断書とは、ある時点の会社全体の状態を表したものということです。
この「ある時点の」というのがポイントです。(次回以降でまたご説明します。)
損益計算書=給与明細書
給与明細書はふつうは1か月分という期間で区切られた、労働に応じた報酬やその他手当などの支給項目から、社会保険料の自己負担額や源泉所得税などの控除項目を差引いた手取り額が記載されていますね。
つまり会社にとっての給与明細書とは、一定期間の、会社の売上やその他の収益項目から、諸経費などの費用項目を差し引いた利益(儲け)が記載されたものということです。
ここでも「一定期間の」というのがポイントになります。(次回以降でまたご説明します。)
キャッシュ・フロー計算書=家計簿
家計簿は、お給料の手取り額を何に使っていくら残っているのかを記録するものですね。
つまり会社にとっての家計簿とは、一定期間で区切った利益(儲け)が、何に使われた結果お金がいくら増えた(減った)のかを示したものということです。
いかがでしょうか?何となくイメージしやすくなりましたか?
健康診断書を見れば体の状態がわかるように、貸借対照表を見れば会社の状態がわかります。
給与明細書を見ればいくら稼いだのかがわかるように、損益計算書を見れば会社がいくら儲けたのかがわかります。
家計簿を見れば財布の中身や通帳の残高がその金額になった要因がわかるように、キャッシュ・フロー計算書を見れば会社のキャッシュ(現金預金)の残高がその金額になった要因がわかるのです。
反対に、
健康診断書を見ただけではどういう生活をした結果そのような体の状態になったのかはわからないように、貸借対照表を見ただけではどういう事業成績の結果そのような会社の状態になったのかはわかりません。
給与明細書だけ見ても、稼いだお給料を何に使っていくら残っているかはわからないように、損益計算書を見ただけでは儲けたお金がどのように使われていくら残っているのかはわかりません。
家計簿を見ただけでは、手取り額の内訳はわからないし、健康状態もわからないように、キャッシュ・フロー計算書を見ただけでどのような業績でその儲けになったのかはわからないし、会社の全体的な状態もわかりません。
つまりこれらの財務諸表を複合的に活用することによって、会社を様々な視点から分析し、どこを改善すればより良くなるのかという判断をするヒントを得られるのです。
それでは今回はここまでにしたいと思います。
☆今回の「ここだけは押さえて欲しい!」ポイント
・貸借対照表=健康診断書
・損益計算書=給与明細書
・キャッシュ・フロー計算書=家計簿
というイメージ